診療について
生まれてから

生まれてすぐの赤ちゃんはお母さんのおなかから外に出ることによって、呼吸の開始や循環系の大きな変化のためにとても大きなストレスにさらされます。

近年、生まれた直後の沐浴が体温低下を引き起こすことがわかってきました。このため、当クリニックでは出生直後の沐浴は簡単にすませ、24時間ほど経過して心臓の動きや呼吸が安定してきてから本格的な沐浴を開始するようにしています。

新生児血液ガス分析検査

生まれたばかりの赤ちゃんの臍帯から採血して、アイスタットという分析機器にかけると、赤ちゃんの血液中の酸素濃度を測ることができます。お産中に苦しくなかったか、リアルタイムで赤ちゃんの元気さを確認します。


新生児聴覚スクリーニング検査

聴覚異常の赤ちゃんは、2000人に1人の割合で、生まれてきます。早期の発見は、その後の治療・教育に影響します。当クリニックでは、生まれてから6日間のうちに、眠っている赤ちゃんにDPOAEという簡単な聴覚検査法でスクリーニングしています。検査で異常があった場合は、高度な検査と専門医をご紹介します。

 最近、母児相互作用や母乳保育の重視の中で、母児同室制が見直され、積極的に同室化する施設も現れています。分娩直後の「最初の一週間」のかけがえのない大切さが、最近次々と証明されてきましたが、いまだ大規模病院の50%が母児異室制となっています。

 母乳の分泌量は母児相互作用が大きく関係しています。おかあさんの乳首を赤ちゃんが吸うと、その刺激で母乳を分泌させるホルモンが増え、さらに母乳の量が増えます。また、出生後早ければ早いほどこの母乳分泌ホルモンの上昇の程度が高いことが明らかになりました。つまり、母児同室であれば早くから授乳が可能で、分泌量も増えます。

 当院では、新生児室にてお預かりしますが、母児同室を希望される方には、希望される時期からいつでも赤ちゃんと同室できます。分娩直後すぐからや体調回復してゆっくりと、または、昼間だけとお母さんの希望に合わせます。お母さんと赤ちゃんとの円滑な心理的接触ふれあい-母児相互作用-の確立に協力していきます。

 母乳が栄養学的免疫学的そして心理学的にも優れたかけがえのない栄養法だということは、誰もが認めるところであります。

 しかしながら、それを強制的におかあさんに押し付けることは当クリニックではいたしません。乳房マッサージなどおっぱいのケアには、全力でお手伝いしますが、母乳かミルクかを選ぶのはお母さん自身であり、それを手助けしていくのが私たちだと考えています。

出産後にかかる心の病気に産後うつ病があります。一過性のマタニティブルーとは異なり、お母さんの脳のシステムに異常が発生しているのです。これにかかると、自分自身の感情をコントロールできなくなり、悪化するとネグレクト(育児放棄)や虐待など社会的に問題になるような痛ましい事件を引き起こすことがあります。周りからは、怠けていると思われることでも、病気が隠されていることがあります。お母さん自身が一番苦しんでいるのです。当クリニックでは、産後1週間目に「エジンバラ産後うつ病質問票」を実施してスクリーニングを行います。うつ病は早期発見・早期治療で治すことができます。

  • 日本版エジンバラ産後うつ自己評価票(Edinburgh Postnatal Depression Scale : EPDS)について

 産後うつ病の自己評価票です。産褥6週頃に実施するのが望ましいとされていますが、3ヶ月以内であればかまいません。あるいは、妊娠中のデータも参考になります。
 それぞれの選択肢の数字が点数になっています。
各項目に4つの選択肢が用意されており、高得点ほど症状が重いことを示しています。合計点数は、最低0点。最高30点となり、点数が高いほど、抑うつ重傷度が高くなります。合計点数が9点以上は産後うつ病の可能性があり、継続的に診察の必要性があります。産婦人科医や精神科医に相談する事をお薦めします。しかし、8点以下でも臨床的に産後うつ病の可能性もありますので、注意が必要です。
なお、質問項目10が1点以上であれば診察が必要ですから、やはり、産婦人科医や精神科医を受診しましょう。

産後うつ病の早期発見・早期治療が重要な事はもちろんですが、この病気のための乳児や児童への虐待が、次の世代へ連鎖することがあります。ですからこそ、産後うつ病かと思ったら、一人で悩まないで早めに受診することがたいせつです。

 当クリニックでは、全てのお母さんと赤ちゃんを対象に、2週間健診を実施しています。

 産褥1ヶ月検診・乳児検診はすべての産婦人科でも実施していますが、初めてお産を経験したお母さんにとっては、何もかにもが初めてのことですから、退院して自分自身で考えて行動しなければならない産後1ヶ月検診までの間が、もっとも不安が強いようです。

 たとえば、赤ちゃんの体重増加は今くらいでよいのかどうか?、赤ちゃんの顔にブツブツができているが、特に異常な皮膚病ではないだろうか?、母乳が足りているのかどうかよく分からない、おむつを替えても泣きやまない、何で泣き続けているのか分からない?、昼間はよく寝ているのに夜中にずっとおきていて寝ないで困る。相談する相手が、誰もいない?・・など様々な不安があるときです。また、産後のうつ病などが発症したりするのもこの頃です。

 このような不安の中でも一番相談が多いのは、母乳に関係することです。母乳は足りているのかという心配や、乳腺が詰まってかたくなったりと母さん自身のおっぱいのトラブルなどの発生が起こってきます。体重を量るだけでもこの不安感を取り除くことができます。また、おっぱいの飲ませ方などを詳しく聞いて、トラブル予防のアドバイスができるかと思います。この時期に2週間健診を実施することは、そのような不安感を取り除く

 産後3ヶ月過ぎたころに、「モウモウ同窓会」を実施しています。
 目的は、おしゃべり!が中心の会です。もちろん、助産師・看護師にいろいろなお困りごとを相談されてもかまいませんし、入院中親しくなられた方ともお会いしてお話がはずめばいいなあと考えています。
 将来的には、ここからいくつかの育児サークルが生まれていくきっかけになればいいですね。

→詳しくは、クリニック日記