診療について
生まれる時には

 陣痛促進剤は陣痛が弱いときや過期妊娠(42週以降)のときに使用されます。しかし、意外と安易に使われているのかもしれません。それは厚生労働省の統計をみると、土日より平日の出産数が断然多いことから推測できます。陣痛促進剤を使うと、妊婦さんによっては過強陣痛(強すぎる陣痛)になる場合があります。このために、子宮破裂や、赤ちゃんに酸素が充分にいかず脳性まひになってしまうことにもなりかねません。悲しいことに安易な使用のために命を落とした妊婦や胎児が何人もいます。この薬は、納得のいく説明と厳重な監視の元で使用する薬剤です。

 当クリニックでは簡単に陣痛をつけることはしません。妊娠37週0日から妊娠41週6日の5週間の間に生まれれば正常(正期産)ですから、それまでには自然の陣痛が発来しやすくなるように散歩や雑巾掛けの指導を行っています。今までの経験から使用する必要はないと考えています。

お産の時に感染予防の目的で体毛を剃ったり、分娩の進行目的での浣腸はWHOの指針でも医学的根拠にかけることが明らかとなっています。また、会陰切開をルーティン(一律)にする発想は、男性産科医の感覚のようです。助産師の丁寧な手技により、会陰切開をしないお産を目指しています。
 ちなみに、当クリニックでの会陰切開率は、13.0%でした。
 努力目標としては、10%を切りたいと考えています。

麻酔専門医による麻酔

 産科手術での医療事故で最も多いのは、帝王切開時の麻酔医以外による脊椎麻酔ショックによる死亡です。今日では、産科医が麻酔も手術も出生直後の新生児管理もする時代ではなく、手術の麻酔は麻酔専門医に任せるべきだと当クリニックは考えます。帝王切開時には、麻酔の指導医免許を持つ麻酔科医が麻酔を管理し、産科医2名の計3名の医師による手術を行います。もしも生まれたばかりの赤ちゃんに蘇生が必要なときでも、麻酔科医師がいるので安心です。また、専門医による麻酔は、痛みのコントロールもうまくでき、術後の痛みも少なくてすみます。

肺塞栓症(エコノミークラス症候群)対策

 手術後のトラブルに肺塞栓症があります。肺の血管に血の塊(血栓)が詰まって呼吸ができなくなり死亡する病気です。
 術後の突然死を起こす肺梗塞を予防するため、手術前から装着する弾性ストッキングや、術後に足の裏に設置する特殊なAVインパルスポンプ、さらに血液をサラサラにして流れをよくする低分子ヘパリンを使用しています。

 この取り組みは平成14年6月30日にRKB毎日福岡放送の「追跡25時取り残された突然死妊産婦肺塞栓症」で放送されました。

分娩直前の立会いではなく、陣痛が発来してからずっと一緒にいて励ますことにこそ意味があります。初産婦さんでは平均12時間(長いときは30時間ぐらい)経産婦さんでも8時間ほどかかります。